プロダクト

ガントチャートで「予定と実績のズレ」を見る

遅れというのは、たいてい手遅れになってから表面化します。〆切の3日前に、ふと残りを数えて青くなる。あるいは、誰かに「あれ、今どこまで進んでます?」と聞かれて、初めて自分でも分かっていないことに気づく。

不思議なのは、記録は取っていた、ということです。タスクは並んでいたし、時間も測っていた。それなのに遅れに気づけなかったのは、「予定ではここまで進んでいるはず」と「実際はここまで」が、同じ絵の上に並んでいなかったからだと思います。数字は持っていても、ズレは見えていない。ガントチャートは、この二つを重ねて置くための道具です。この記事では、LayerClock のガントが計画と実績をどう重ねているか、そしてそれをどう読むかを、順に見ていきます。

タスクの一覧では、ズレは見えない

タスクを縦に並べたリストは、「何が残っているか」はよく分かります。でも「予定より遅れているのか」は、リストからはほとんど読めません。チェックが7個ついていて3個残っている、という情報からは、それが順調なのか遅れているのかが分からない。時間軸が無いからです。

たとえば、あるタスクに「未着手」と付いているとします。リスト上では、これは他の未着手タスクとまったく同じ見た目です。でも、そのタスクの予定開始日が3日前だったとしたら、それは「これからやる未着手」ではなく「もう遅れている未着手」です。リストは、この二つを区別できません。着手すべき日を過ぎているかどうかは、時間軸の上に置いて初めて見えます。

ガントチャートが足しているのは、この時間軸です。各項目を「いつからいつまで」の横棒として時間の上に置く。すると、今日という縦線がどこにあって、各バーがそれに対して前にいるのか後ろにいるのかが、一目で分かる。「遅れ」は、位置関係として初めて目に見えるものになります。

計画のバーと、実績のバーを重ねる

LayerClock のガントは、一本のバーを二層で描いています。外側にある薄い枠が「計画」――その項目に設定した開始日と期限です。その内側に、濃い色のバーが伸びていて、これが「実績」を表します。

内側のバーの長さは、見積もりに対して実績の時間がどれくらい積み上がったかで決まります。見積もり10時間の成果物に5時間ぶんのタイマーが積まれていれば、内側は計画枠の半分くらいまで伸びる。計画枠に対して、中身の進み具合が視覚的に分かるわけです。完了した項目は、濃い色ではなく灰色系になって、「これはもう終わった」と一目で区別できます。

具体的に、いくつかの成果物が並んだ画面を思い浮かべてみます。「基本設計書」の枠は、内側の濃いバーが枠を8割がた埋めていて、まだ完了色になっていない――見積もりをかなり使ったが、あと少しで仕上がりそう。「画面モック」の枠は、内側がまだ左端に少ししか伸びていない――着手して間もない。「決済機能」の枠は、そもそも枠しかなくて中身が空――まだ手がついていない。この三つが縦に並んでいるだけで、「今どこにエネルギーが入っていて、どこが手つかずか」が、数字を読まなくても分かります。

今日の赤い線と、三つの読み方

そして画面には、今日の位置を示す赤い縦線が引かれています。この線と、内側の実績バーの先端との位置関係が、そのまま「予定と実績のズレ」です。私はいつも、この赤い線を基準に、ざっくり三つのパターンで読んでいます。

追い越している――実績バーが今日の線より右まで伸びている。予定より前倒しで進んでいるか、少なくとも遅れてはいない。これは健康な状態です。

追いついていない――枠(計画)は今日の線をまたいでいるのに、内側の実績バーが線の手前で止まっている。本来ここまで進んでいるはずの日なのに、実績がそこに届いていない。これが「遅れ」の典型的な見え方で、赤い線に対して濃いバーがどれだけ手前にいるかが、遅れの大きさの目安になります。

枠を食い切りそう――内側の濃いバーが、計画枠の右端いっぱいまで来てしまっている。まだ完了していないのに、見積もった時間をほぼ使い切っている。これは「遅れ」というより「見積もり超過」で、放っておくと枠から溢れる。着手が遅れているのとはまた別の危険信号です。

細かい数字を読まなくても、赤い線に対する濃いバーの位置だけで、だいたいの健康状態がこの三つに振り分けられる。これがガントの、いちばん地味で、いちばん効く使い方だと思います。

全体を俯瞰してから、気になったところに下りる

計画は、月単位でざっくり眺めたいときと、今週の細かい進みを詰めて見たいときがあります。LayerClock のガントは月表示と日表示を切り替えられて、日表示にすると1日ごとの目盛りと、土日をうっすら色分けした列が出ます。「この週末をまたいでこの成果物を終わらせるつもりだったのに」といった、日単位の詰まりを見るときはこちらが向いています。

実際の見方としては、まず階層を折りたたんで、プロジェクトやフェーズのサマリのバーだけで全体を俯瞰するのがおすすめです。この状態でも、上位のバーは配下の子の進捗を平均して長さに反映するので、「どのフェーズが赤い線に追いついていないか」がまず分かる。そこで気になったフェーズだけを開いて、成果物・タスクまで下りていく。全部を最初から広げると情報が多すぎて、肝心の遅れが埋もれます。俯瞰で当たりをつけて、気になったところだけ深く見る、という順番が、いちばん速く遅れに辿り着けます。

バーにカーソルを合わせると、開始日と期限、担当者、進捗率、見積もりが小さなカードで出るので、下りていった先で「この成果物、誰が持っていて、いつまでだったか」をその場で確認できます。

ズレに気づいたあとの話

ガントで見えるのは「ズレている」という事実までで、「このままいくと最終的にどうなるか」までは、ひと目では出ません。そこから先――残工数の予測や、フェーズごとの消化ペースの分析――は、レポート側の役割になります(このあたりは「気づいたら予算オーバー」を防ぐ完了時工数(EAC)の考え方で書いています)。

ただ、その予測にしても、出発点は「遅れているという事実に、手遅れになる前に気づけたか」です。どんなに精緻な着地予測も、遅れに気づくのが〆切前日では手が打てない。ガントは派手な分析はしませんが、その最初の「気づける」を、赤い線と二層のバーだけで支えてくれる。私はこれを、計画を開くたびの健康診断くらいの感覚で使っています。開くたびに赤い線をまたぐバーを眺めて、追いついていないものが増えていないかを確かめる。それだけで、手遅れになる前に動ける回数がずいぶん増えます。

関連記事


この記事で書いたガントチャートは、LayerClock の計画画面でそのまま使えます。 4 階層 WBS(プロジェクト・フェーズ・成果物・タスク)に設定した日程と、タイマーで積んだ実績が、計画バーと実績バーとして重なって表示されます。ここまでは無料で使えます

LayerClock を試してみる →