複数案件を掛け持ちするときの工数管理術
複数の案件を同時に抱えていると、「今月、あの案件に何時間使ったっけ?」という状況が起きやすくなります。
私が複数案件を並走させていた頃、月末に工数を集計しようとすると、どの記録がどの案件のものか判別しにくくなっていました。「だいたいこのくらい」という感覚ベースで実績を出してしまうこともありました。
この記事では、複数案件を掛け持ちするときの工数管理について、記録の設計から案件別の活用まで整理します。
複数案件で起きやすい工数管理の問題
複数案件を並走させているとき、工数管理で特によく起きる問題を挙げます。
案件の工数が混在する
記録をプロジェクト別に分けていないと、「今日は複数の案件に時間を使った」という日が積み重なったとき、案件ごとの実態がわからなくなります。「全体で8時間働いた」という記録はあっても、案件Aに何時間・案件Bに何時間というデータが取れません。
細切れの作業時間が記録されない
複数案件を掛け持ちしていると、「ちょっとあの案件のチャットを確認して返信した(15分)」「もう一方の案件の仕様書を確認した(30分)」という短時間の作業が多くなります。これらを記録しないと、月次で見たときに実態より少ない工数が出てきます。
どの案件が時間を食っているか見えない
「なんとなく忙しい」という感覚はあっても、案件別の工数が見えていないと、どの案件にリソースを取られているかが判断できません。案件の受注判断や工数の配分を感覚で行うしかなくなります。
案件別に記録を分けるための構造
複数案件の工数を正確に把握するためには、「記録が案件ごとに分かれている」ことが前提条件になります。
基本的な設計は「プロジェクト = 案件」として、案件ごとにプロジェクトを作ることです。その下にフェーズ・成果物・タスクを作ると、案件単位での集計に加えて、フェーズ単位での集計もできるようになります。
重要なのは、タスクを開始する前に「どの案件のタスクか」を明確にすることです。「今日の作業記録」という1つのバケツに全部入れる記録の仕方では、後から案件別に分類することは難しくなります。
案件をまたいだ作業時間の切り替え方
複数案件を掛け持ちしているとき、一日の中でA案件→B案件→A案件といった切り替えが頻繁に起きます。
この切り替えをスムーズに記録するには、「今やっているタスクを選ぶ」という操作だけで計測が切り替わる仕組みが理想です。
タスクBを選んだ瞬間にタスクAの計測が止まる、という設計になっていると、「前のタスクを止め忘れた」「どっちの計測が動いているかわからなくなった」という問題が起きません。複数案件を掛け持ちするほど、この「切り替えのシームレスさ」は重要になります。
月次で案件別の工数サマリを確認する
月の終わりに、案件ごとの工数合計を確認します。
このとき、見ておきたい数字は以下です。
案件ごとの総工数:その月、各案件に何時間使ったか。想定より多い案件・少ない案件が一目でわかります。
実効単価の比較:受注金額 ÷ 実績工数で、案件別の時間あたりの対価を計算する。数字で見ると「この案件は時間がかかる割に単価が低い」という発見が生まれます。
工数の偏り:特定の案件に過度に時間を取られていないか。想定外の偏りがあれば、翌月のスケジュール調整の材料になります。
これらが数字で見えると、「次の月はA案件の工数を増やしてB案件はセーブする」「この案件は時間がかかる構造なので次の更新時に単価を見直す」という判断ができるようになります。
「忙しいのに実績が少ない」が起きる理由
複数案件を掛け持ちしていると、「確かに忙しかったのに、月末に記録を見たら案外少ない」という経験をすることがあります。
これにはいくつかの原因があります。
ひとつは、案件間の切り替え時間が記録されていないことです。「A案件の作業を終えてB案件に入る前に少し整理をした」という時間は、特定のタスクに紐づけていないと記録が残りません。
もうひとつは、打ち合わせ・調整・確認などの間接工数が記録から漏れていることです。直接作業していない時間でも、プロジェクトに関わる時間はすべてタスクとして記録する意識が必要です。
「記録する習慣」より「記録できる仕組み」
複数案件を抱えているとき、工数記録の習慣化は特に難しくなります。忙しいときほど「後で記録しよう」という先送りが起きやすくなるからです。
習慣の力で記録を続けようとするより、「記録しやすい仕組みを作る」方が現実的です。
- タスクを選ぶだけで計測が始まる(操作を最小化する)
- タスクを切り替えると前の計測が止まる(止め忘れをなくす)
- ブラウザを閉じても計測が継続する(環境変化に対応する)
これらが整っていると、「記録するための意思力」が不要になります。
まとめ
複数案件を掛け持ちするときの工数管理術:
- 案件ごとにプロジェクトを分けて記録する(記録が混在しないように)
- 短時間の作業・調整工数も記録する(細切れの工数を積み上げる)
- タスクの切り替え=計測の切り替えになる仕組みを使う
- 月次で案件別の工数サマリ・実効単価を確認する
- 習慣に頼らず、仕組みで記録できる環境を作る
複数案件の工数を正確に把握できると、「どこに時間を使っているか」「どの案件が収益性が高いか」という判断が数字でできるようになります。感覚で「忙しい」と感じているものが、具体的な数字として見えてくることで、次の動きが変わります。
本記事で取り上げた「複数案件の工数管理」は、LayerClock でも対応しています。 案件ごとにプロジェクトを分けて4階層WBSで管理し、タスクを切り替えると前のタイマーが自動停止します。複数案件を並走させながら正確な工数を記録できる環境を、無料から試すことができます。