ノウハウ

職種別WBSサンプル集:Web開発・デザイン・ライティング編

WBSの概念を理解していても、「いざ自分の案件に当てはめて書こうとすると手が止まる」という経験をしたことがある方は多いと思います。

特に、自分の職種に合った具体例が少ないとハードルが上がります。「WBSの教科書的な例」はプロジェクト管理の文脈で語られることが多く、エンジニア・デザイナー・ライターがそのまま使える形ではないことも珍しくありません。

この記事では、3つの職種に合わせたWBSサンプルをそのまま使えるような形で紹介します。それぞれ4階層(プロジェクト→フェーズ→成果物→タスク)で整理しています。

WBSの4階層おさらい

サンプルを見る前に、4階層の意味を簡単に確認します。

  • プロジェクト層:案件・受注単位
  • フェーズ層:時系列の段階(要件定義・設計・実装・テスト など)
  • 成果物層:フェーズで生み出す具体的な納品物
  • タスク層:実際に手を動かす最小単位の作業(時間を計測する対象)

この構造で整理することで、フェーズ別・成果物別に工数を集計できるようになります。


サンプル1:Webサイト制作(受託開発)

5ページ程度のコーポレートサイトを想定したサンプルです。

📁 コーポレートサイト制作
  ▾ 要件定義
    ▾ ヒアリング
      □ ヒアリングシート作成(1h)
      □ クライアントヒアリング実施(2h)
      □ 議事録・要件書まとめ(2h)
    ▾ 要件確認
      □ サイトマップ作成(2h)
      □ クライアント確認・修正対応(1h)
  ▾ 設計
    ▾ ワイヤーフレーム
      □ トップページWF(3h)
      □ サービスページWF(2h)
      □ 会社概要・その他ページWF(2h)
      □ クライアントレビュー・修正(2h)
    ▾ デザインカンプ
      □ トップページデザイン(6h)
      □ 共通パーツ(ヘッダー・フッター)(3h)
      □ クライアントレビュー・修正(3h)
  ▾ 実装
    ▾ 共通コンポーネント
      □ ヘッダー・フッター実装(3h)
      □ ボタン・フォーム等UIコンポーネント(3h)
    ▾ 各ページ実装
      □ トップページ実装(4h)
      □ サービスページ実装(3h)
      □ 問い合わせページ・フォーム実装(4h)
  ▾ テスト・納品
    ▾ 動作確認
      □ クロスブラウザ・レスポンシブ確認(2h)
      □ フォーム送信テスト(1h)
    ▾ 納品
      □ クライアントレビュー・最終修正(3h)
      □ 本番環境デプロイ・確認(2h)

ポイント:「クライアントレビュー・修正対応」をWBSのタスクとして明示的に入れることが重要です。見積もり時にここが抜けると、後から工数が膨らむ原因になります。各フェーズにレビュー工数を含めることで、修正対応の実態が見えるようになります。


サンプル2:UIデザイン(SaaSプロダクトの新機能)

プロダクトの新機能UIをデザインする案件を想定したサンプルです。

📁 〇〇機能UIデザイン
  ▾ 調査・定義
    ▾ ユーザー調査
      □ 既存ユーザーインタビュー準備(2h)
      □ インタビュー実施・記録(4h)
      □ インサイトまとめ(2h)
    ▾ 要件整理
      □ 機能要件のデザイン変換(2h)
      □ 制約条件・技術仕様確認(1h)
  ▾ コンセプト
    ▾ アイデア展開
      □ ラフスケッチ・複数案作成(3h)
      □ チームへの案提示・フィードバック収集(1h)
      □ 方向性の決定(1h)
  ▾ デザイン制作
    ▾ ワイヤーフレーム
      □ 主要画面のワイヤー作成(4h)
      □ インタラクション設計(2h)
      □ レビュー・修正(2h)
    ▾ ビジュアルデザイン
      □ 主要画面のUIデザイン(8h)
      □ エッジケース・エラー状態のデザイン(3h)
      □ レビュー・修正(2h)
    ▾ デザインデータ整備
      □ コンポーネント整理・命名(2h)
      □ エンジニア向け仕様コメント(2h)
  ▾ 引き渡し
    ▾ ハンドオフ
      □ エンジニアへの仕様説明(1h)
      □ 実装確認・デザイン調整(3h)

ポイント:「エンジニアへの引き渡し後の調整」を明示的にタスク化しておくと、実装フェーズでの手戻り工数を事前に見積もれます。また「エッジケース・エラー状態のデザイン」を独立したタスクとして入れることで、この作業が抜け落ちるのを防げます。


サンプル3:Webライティング(オウンドメディア記事)

SEO記事を月4本執筆する案件を想定したサンプルです。

📁 〇〇社オウンドメディア運用(月次)
  ▾ 企画
    ▾ テーマ選定
      □ キーワード調査・競合記事確認(3h)
      □ 月次テーマ4本の選定・提案(1h)
      □ クライアント確認・最終決定(1h)
  ▾ 執筆
    ▾ 記事A
      □ 構成作成(1h)
      □ 本文執筆(3h)
      □ 修正・推敲(1h)
    ▾ 記事B
      □ 構成作成(1h)
      □ 本文執筆(3h)
      □ 修正・推敲(1h)
    ▾ 記事C(記事A・Bと同様の構造)
    ▾ 記事D(記事A・Bと同様の構造)
  ▾ 納品・入稿
    ▾ 入稿作業
      □ CMSへの入稿・画像設定(各記事30分 × 4本)
      □ クライアント確認・修正対応(1h)
      □ 公開確認(30分)

ポイント:ライティング案件では、1記事を「構成・執筆・修正」の3タスクに分けることで、どの工程に時間がかかっているかが見えやすくなります。執筆時間だけ見て見積もると、構成と修正の工数が漏れがちです。月次案件では1ヶ月を1プロジェクトとして扱うと、月ごとの工数比較がしやすくなります。


WBSサンプルを使うときの注意点

これらはあくまでサンプルです。実際に使う場合は、自分の案件の要件・規模・クライアントの関与度に合わせて調整してください。

コミュニケーション工数を忘れない:打ち合わせ・メール対応・確認作業はタスクに含めましょう。これが漏れると見積もりが実態より少なくなります。

修正対応は別タスクにする:「レビュー後の修正」は必ず発生します。作業自体のタスクとは分けて記録すると、どのくらい修正工数が発生するかの傾向が見えてきます。複数プロジェクトを経るうちに「この案件タイプはレビュー工数がX時間かかる」という感覚が数字として定着します。

初回は過去の案件と比較する:過去に類似案件の記録があれば、そちらを参照しながら今回のタスクの工数を調整します。WBSを同じ構造で記録し続けることで、過去との比較がしやすくなります。

4時間以内を目安にタスクを分解する:1タスクが大きすぎると、進捗の把握も難しくなります。「1日で終わるかどうか判断できる粒度」を目安にすると、適切な粒度に落ち着くことが多いです。


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